ガンホー・オンライン・エンターテイメント 利益構造分析 ゲームはドル箱?
みなさんこんにちは
今回はパズドラで有名なガンホーを取り上げていきたいと思います。
パズドラがヒットした時に時価総額が1兆円を超えて話題となりました。
2019年5月31日現在の時価総額は約3190億円となっており、ピーク時に比べれば大分株価は下落しているようです。
ガンホーはGRAVITYという韓国のゲーム会社をはじめとして18社の子会社を持ち、連結財務諸表を作成しております。
今回の記事では純粋にスマホゲームの収益性の分析を行うためガンホー・オンライン・エンターテイメントの単体のPLの分析をしていきたいと思います。
今回はガンホーの主要費目の固定費と変動費の区分をしやすくするためにあえて業績が絶好調だった2014年12月期と2018年12月期のPLを両方載せていきます。
2014年12月期と2018年12月期の単体PLは以下の通りとなっております。
2014年12月期 2018年12月期
売上高 168,986百万円 62,340百万円
売上原価 52,941百万円 21,027百万円
売上総利益 116,044百万円 41,312百万円
給与及び手当 2,005百万円 2,255百万円
広告宣伝費 13,152百万円 8,088百万円
業務委託費 記載なし 2,680百万円
その他 4,899百万円 4,383百万円
販管費合計 20,056百万円 17,406百万円
営業利益 95,988百万円 23,906百万円
営業外収益 83百万円 123百万円
営業外費用 3百万円 47百万円
経常利益 96,067百万円 22,469百万円
特別利益 5,200百万円 -
特別損失 215百万円 1,512百万円
税引前利益 101,053百万円 22,469百万円
法人税等 38,503百万円 7,117百万円
当期純利益 62,549百万円 15,351百万円
それにしても2014年12月期の利益金額に驚かされます。おそらくほとんどパズドラが稼いだ利益でしょう。売上高が1680億円です。ユーザー数は全く分かりませんが1000万人と仮定しても一人当たり1万6千円課金している計算です。
まず販管費に注目して見ましょう。減少分は広告宣伝費でそれ以外は大きな変動がないことから固定費的な性質の費用であることが推測されます。
次に売上原価を見ていきましょう。
売上原価の内訳は以下の通りです。
2014年12月期 2018年12月期
ロイヤリティ 2,551百万円 2,237百万円
減価償却費 492百万円 467百万円
支払手数料 49,498百万円 17,966百万円
2014年12月期と比較して支払手数料が大きく減少していることが分かります。
この支払手数料はなんの費用でしょうか。
おそらくGoogleとAppleへの手数料ではないかと推定できます。
ガンホーはスマホゲームの会社でその課金収入はGoogleとAppleを通じて課金収入が入ってきます。つまり売上に連動する変動費です。
減価償却費は少額となっています。ゲームの開発自体にはそれほど費用がかからないことがうかがえます。
上記よりスマホゲームの主な原価はGoogleとAppleへの手数料と広告宣伝費であることが分かります。固定費が小さく粗利率が高いことからピーク時の売上の6割以上下落してもまだまだ、潤沢な利益を稼げている状況です。
<今後の展望について>
今回の分析を通じて私の考えではスマホゲーム市場自体は拡大するものの収益性は悪化するのではないかと考えています。世界人口の増加、スマホの普及によりスマホゲーム市場は今後も拡大していくでしょう。
但し新しい通信規格である5Gの導入がもうすぐ始まる予定となっています。
かつてプレステ3が出た時にグラフィック性能の向上によりソフト開発費が高騰したことがありました。高速通信によりスマホゲームのグラフィック性能が上がることはほぼ間違えないでしょう。そうなればソフト開発費は高騰することが予想されます。
今までのスマホゲーム市場においては費用があまりかからないことから新規参入が容易であったものの、今後は参入が難しい市場に変わってくるのではないでしょうか。
そういう意味ではパズドラのヒットにより潤沢なキャッシュを持つガンホーが次世代の通信規格でのゲーム市場では優位に立っていると言えるかもしれません。