株式会社ミクシィ のれん償却
第2回目の投稿はのれんについて見ていきたいと思います。
今回取り上げる企業は株式会社ミクシィ
元祖?SNSのミクシィを運営する会社でモンストの会社としても有名ですよね。
その4、5年ぐらい前にモンストの爆発的ヒットで株価も暴騰しましたが最近ではその勢いも衰えてきているとか。
2018年3月期の決算でのれん償却費として7,597百万円を特別損失として計上しています。
のれんって何?
そんな方のためにのれんをについて解説していきたいと思います。
会計で出てくるのれんとはそば屋さんとかの入り口にあるのれんでしょうか?
半分正解で半分間違えです。さすがにいくら高いのれんであっても何十億円もするのれんはないでしょう。
よく人気のラーメン屋がのれん分けをするとか聞きますよね。そのお店の店長が「この弟子ならうちののれんを掲げてお店を出しても恥ずかしくない」と認めて同じ名前でお店を出すことを認めるのがのれん分けです。ゼロからスタートするのではなく、人気のラーメン屋ののれんを掲げてラーメン屋を始めれば、お客さんもすぐにたくさん来てくれるはずです。
つまりのれんというのはブランド価値なのです。
但しバランスシートにはブランド価値のような目に見えない計測不能なものは計上することはできないのです。
例えば東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの貸借対照表にはのれんは計上されておりません。知らない人はいない圧倒的な集客力を誇るディズニーリゾートのブランド価値は計り知れませんが貸借対処表にはその価値は資産計上されていません。なぜならブランド価値がいくらなのか計測が不能だからです。
ではなぜのれんが計上されている会社が存在するのか?
それは支出による裏付けがあるため計測可能だからです。
100円の資産を持つ会社があります。その会社の株式を150円で買ったとすると
150円ー100円=50円がのれん代です。
会計的には以下のような仕訳によりのれんが計上されます。
親会社単体仕訳
子会社株式 150円/ 現預金150円
連結仕訳
子会社純資産100円/子会社株式150円
のれん50円
現金による支出による裏付けがあるからって本当にのれんに50円の価値があるの?
はっきりいって誰にもわかりません。なぜなら買収された会社がその後いくら利益を上げるかなんて誰にもわからないからです。
全く同じ会社はこの世に存在しないから会社は一品ものです。一品ものには相場はありません。わからないものを買い手と売り手の交渉で値段が決まってその値段によって、のれんが計上されるのです。
話を元に戻しましょう。2018年3月期にミクシィは7,597億円の、のれん償却費を特別損失として計上しました。
こののれんはチケットのフリマ事業を行なっている株式会社フンザを2015年に買収した際に発生したものです。
重要な企業買収をした場合には有価証券報告書では企業結合に関する注記を行わなければならないことになっています。
企業結合の注記を見ればどのような会社をいくらで買収したのかを確認することができます。
2015年3月期の有価証券報告書によると企業結合による受け入れた資産、負債
取得の対価は以下の通りです。
流動資産 690百万円
流動負債 1,051百万円
取得の対価 11,573百万円
念のために申し上げておきますが桁の間違えはないです。
資産より負債の方が361百万円多い会社を11,573百万円で取得してます。
つまり数字だけ見れば115億円払って3億円以上の借金を引き受けたのです。
のれんは11,573百万円+361百万円=11,934百万円計上されることになります。
のれんは会計基準で20年以内の効果の及ぶ期間にわたり償却をしなければならないと定められております。
株式会社フンザの買収により発生したのれんは毎年の償却費から逆算すると11年で償却を行なっていたようです。
フンザが問題を起こし清算することになったことからフンザのブランド価値がゼロになったとして全額償却を余儀なくされ、巨額の損失計上に至ったということです。
買収により発生したのれんは買収した会社が利益を上げてくれれば価値があるものですが、そうでない場合には資産とは呼べないものです。
買収先の純資産額以上で買収するというこは成長性がある会社を買っているということですので期待ができる反面、今回のミクシィのようなケースでは大きな損失につながる可能性がるということです。
そのため、のれんが多額に計上されている場合には注意が必要にります。