財務諸表の大事なとこだけ

このブログでは様々な企業の決算の肝となる部分を取り上げて解説しています。

株式会社オリエンタルランド 先行きは?

 みなさんこんにちは

 

今回も前回に引き続き株式会社オリエンタルランドを取り上げていきます。

今回でオリエンタルランドについては3回目の投稿となります。

 

第1回では貸借対照表の固定資産にスポットを当てました。潤沢な利益を生み出すディズニーランドやディズニーシーも取得原価から減価償却費を差し引いた金額で評価されてしまうということを確認しました。

 

夢の国はおいくら?株式会社オリエンタルランド PBRの落とし穴 - 株式投資のための有報の読み方

 

 

第2回では売上原価の分析をしてきました。売上は主に入場料、グッツ販売、レストラン等の飲食の3つで構成されており、利益の大半はグッツとレストランで稼いでいるということを分析しました。

 

入場料は割安?(株)オリエンタルランドは何で儲けているのか。 - 株式投資のための有報の読み方

 

以上を踏まえてオリエンタルランドの今後について考察していきたいと思います。

 

ちなみに

オリエンタルランドの2019年6月21日現在の株価は13,220円となっています。

発行済株式数は363,690,160株ですから時価総額は約4.8兆円です。

 株価÷一株当たり利益を表す指標であるPERは約66倍となっております。

時価総額÷純資産を表す指標であるPBRは5.4倍です。

 

 上記の指標をみると市場からはかなり成長を期待されていると言えるでしょう。

 

それでは今後オリエンタルランドは大きく成長する見込みはあるのでしょうか。

今後の成長を考える上で重要となる前提事項があります。

 

ディズニーに関する著作権アメリカのディズニー・エンタープライゼズ・インクが保有しておりオリエンタルランド東京ディズニーリゾートの建設と運営を許諾されている立場にあるということです。

つまり基本的には舞浜地区の範囲内でしか事業の展開ができません。

 

そうした中でオリエンタルランドが成長していくためには東京ディズニーリゾートの客数を増やすか客単価を上げるしか方法はないということになります。

 

客数について1983年の開演当初は年間入場者数は約1,000万人でしたが、2018年度の入場者数は約3,200万人となっており右肩上がりで推移しております。

 

日本の人口が1億2千万人であり今後は日本の人口が減少することを考えれば、さすがに今の入場者数が2倍、3倍に増加することはないでしょう。ディズニーランド、シーのエリア拡張、USJ等の競合他社の状況、ディズニー映画作品のヒット等様々な要因により変化しますから今後の入場者数の予測は難しいです。2,500万人から4,000万人の間ぐらいで推移していくのではないでしょうか。

 

客単価については今後上がる見込みはあるのでしょうか。

客単価は今後それほど上がらないのではないかと予想しています。

 

前回の記事でオリエンタルランドの収入は入場料・飲食・グッツ販売の3要素で構成されているということを説明しました。

 

まず入場料についてですが既に競合他社に比べて高い傾向にあります。入場料を上げてしまえば入場者数の減少つながりますから大きく上がることはないでしょう。

 

次に飲食についても、ディズニーランドにご飯を食べることを目的で行く人は少ないと思います。基本的にメインはアトラクションでしょうし今後日本人の胃袋が大きくなる予定もないですから単価の上昇はあまり期待できないでしょう。

 

最後にグッツ販売です。グッツ販売については伸ばせる余地のある分野ではないでしょうか。魅力的な商品の開発や、ディズニー映画のヒットにより伸びる余地はあると思います。またキャッシュレス決済によるレジの混雑の緩和や配送サービスの改善等が進めば客単価の向上につながると思います。

 

 以上よりオリエンタルランドの今後については爆発的な伸びはないものの、緩やかな成長は期待できると私は考えております。

 

さて3回にわたり株式会社オリエンタルランドについて見てきましたが、オリエンタルランドについて調べる過程で興味深い情報がありましたので紹介したいと思います。

すでにご存知の方も多いかもしれませんがディズニーシーの新エリアについてです。

 

新テーマポートは『ファンタジースプリングス』名前で「アナと雪の女王」「塔の上のラプンツェル」「ピーター・パン」の3つの映画をテーマとした施設となる予定です。

 

開発面積 100,000㎡で投資額 2,500億円となっております。

 

ディズニーランドとディズニーシーの敷地面積は合わせて1,000,000㎡です。そして取得価格は土地を含めて約1.1兆円です(前々回の記事参照)。それを考えると新エリアは、面積の割に投資額が大きくなっています。

最近ではUSJの猛追もありますから、それを一気に引き離すために、相当な力を入れたエリアになっているのではないでしょうか。

 

観光客としては楽しみではあります。

投資家目線では償却費が少し心配になってしまうでしょう。

 

以上夢の国の夢のない話でした。