財務諸表の大事なとこだけ

このブログでは様々な企業の決算の肝となる部分を取り上げて解説しています。

(前編)大塚家具 株価は低迷 倒産してしまうのか?

今回は世間の注目を集めている大塚家具の財務諸表を見ていきたいと思います。

 

ニトリやネット通販の低価格家具に押されて近年業績が低迷している大塚家具。

倒産も囁かれる大塚家具の財務諸表を見ていきましょう。

 

大塚家具は子会社が3社ありますが、重要性が小さいため連結しておらず個別財務諸表の開示となっております。2018年の12月期の貸借対照表のサマリーはこんな感じ。

 

流動資産

現預金 3,195百万円

売上債権 1,808百万円

商品 9,143百万円

その他 950百万円

<固定資産>

有形固定資産 194百万円

投資有価証券 595百万円

差入保証金 4,719百万円

その他 322百万円

資産合計 20,927百万円

<流動負債>

仕入債務 1,410百万円

短期借入金 1,300百万円

未払費用 1,069百万円

前受け金 1,453百万円

その他 1,178百万円

固定負債

事業構造改善引当金 714百万円

役員退職慰労引当金 500百万円

その他 572百万円

負債合計 8,197百万円

純資産合計 12,729百万円

 

貸借対照表を見る限りとても倒産が囁かれている会社とは思えません。

自己資本比率は約60%ありますし借入金の水準も健全な水準ではないでしょうか。

 

次に損益計算書を見ていきましょう。

 

売上高 37,342百万円

売上原価 20,809百万円

ーーーーーーーーーーーー

売上総利益 16,557百万円

ーーーーーーーーーーーー

人件費 7,753百万円

賃借料等  7,759百万円

配送運賃 1,145百万円

広告宣伝費 1,179百万円

販管費その他 3,890百万円

販管費合計 21,726百万円

ーーーーーーーーーーーーー

営業利益  ▲5,168百万円

ーーーーーーーーーーーーー

経常利益 ▲5,313百万円(営業外収益・費用は省略)

ーーーーーーーーーーーーー

固定資産売却益 1,401百万円

投資有価証券売却益 900百万円

特別利益合計 2,312百万円

特別損失合計 212百万円

ーーーーーーーーーーーーー

税引前利益 ▲3,123百万円

ーーーーーーーーーーーーー

当期純利益 ▲3,240百万円

 

損益計算書を見ると大塚家具の経営状態はかなり深刻な状況にあることがわかります。

本業での儲けを表す営業利益が約50億円の赤字となっております。大塚家具の純資産が約120億円ですから、この状態があと2年以上続けば債務超過に転落してしまうでしょう。早急に手を打たなければなりません。

 

また上記の貸借対照表損益計算書からは資金繰りが苦しいことがうかがえます。

 

大塚家具は有形固定資産をほとんど持っていません。つまり減価償却費は発生しないのです。ということはどういうことかと言うと発生する費用のほとんど全てがキャッシュの流出を伴う費用ということになります。つまり赤字の分だけお金が会社から出て行ってしまうと言うことであり、何らかの形で資金を調達しなければならないのです。

 

また固定資産があれば担保に出すことで銀行からお金を借りることができますが、担保に出せる資産もないと言うことになります。

 

では大塚家具の命脈が尽きるのは時間の問題か?

 

私は再び息を吹き替えす可能性は十分にあると考えています。

 

今回の記事は少し長くなってしまったので詳細は次回のお楽しみに。

 

後編はこちら

 

(後編)大塚家具 株価は低迷 倒産してしまうのか? - 株式投資のための有報の読み方