財務諸表の大事なとこだけ

このブログでは様々な企業の決算の肝となる部分を取り上げて解説しています。

サイボウズ(株) 利益構造を分析

みなさんこんにちは

 

今回取り上げる企業はサイボウズ株式会社。

知らない人も多い会社だと思います。以前電車内の広告で見かけたのがきっかけで変わった名前の会社だったので調べて見ました。

 

YAHOOファイナンスによると2019年5/31時点の株価をベースに計算した場合PERは145.51倍(会社予想)PBRは15.48倍(実績)となっておりいずれも高倍率となっているため成長が期待されている会社ということが分かります。

 

事業内容としては主にグループウェアと呼ばれる組織内のコミュニケーションを円滑にするためのシステムを販売している会社です。

 

サイボウズ(株)の2018年12月期の連結損益計算書の概要は以下の通り。

 

連結損益計算書(単位:百万)

売上高11,303

売上原価 749

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売上総利益10,553

  広告宣伝費1,765

  人件費3,955

  業務委託費767

  研究開発費441

  その他2,520

販管費合計9,450

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営業利益1,103

営業外収益97

営業外費用6

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経常利益1,194

特別利益8

特別損失12

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税引前利益1,191

法人税等合計537

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当期純利益653

 

なんと粗利率が93%と超高粗利となっております。

 

ソフトウェアに関する会計基準では市場販売目的のソフトウェアについては、製品の開発段階で発生する費用は研究開発費(販管費)として処理がされます。

サイボウズ(株)のPLでは441百万円計上されておりますね。

 

その後開発が進み製品として販売できる見込みとなった場合、その後の製品化するまでに発生する費用については資産計上することとなっています。

 

資産計上したソフトウェアについては見込販売数量または見込販売収益を基準に減価償却していき、この減価償却費が売上原価として計上されます。

2019年8月期のBSに計上されているソフトウェアは76百万円となっており非常に小さな値となっております。

 

ソフトウェアの研究開発段階で発生する費用が販管費に計上されることが高粗利の一因となっていることが分かります。

 

粗利率は93%であったのに対して営業利益率は10%を切っております。

販管費の大部分を占めるのが人件費と広告宣伝費です。

 

主力サービスであるcybozu.comの導入企業は28,000社を超えており、営業や保守の人員を相当数抱える必要があるのでしょう。またこれだけ高粗利の商売ですから広告宣伝により少しでも新しい顧客を獲得したいと考えているのだと思います。

 

今回のPL分析から私なりのサイボウズについての解釈は以下の通りです。

 

・製品のソフトウェア自体は開発に費用がかかっておらずそれほど技術的な優位性があるわけではない。

・営業網と積極的な広告宣伝活動により獲得した顧客基盤が強みである。